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USGSデータ

地震で建物の中で何が起きているのか
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1985年9月19日。マグニチュード8.1の地震がメキシコシティ沖350キロを直撃した。これほどの距離なら、大都市への被害は限定的なはずだった。岩盤上の建物はわずかに揺れた程度。だが、かつてテノチティトランが建設された古代の湖底地区では、8〜18階建ての中層ビルが次々と倒壊した。同じ街区に立つ高層タワーや低層建物は、ほぼ無傷だった。

死者は約1万人。この破壊パターンは偶然ではなかった。

答えは「共鳴(レゾナンス)」にある。これを理解することで、メキシコシティだけでなく、あらゆる地震における建物の挙動、そして現代の耐震工学が何をしようとしているのかが見えてくる。

地震波が建物に届くまで

断層が破壊されると、エネルギーは主に2種類の実体波として放出される。P波(縦波・圧縮波)は最初に到達し、バネを押すような縦方向の揺れをもたらす。続いて到達するS波(横波・せん断波)は地面を水平に揺さぶり、建物に最大のダメージを与える。

建物は地震を単一の衝撃として受けるわけではない。地盤が動き、基礎が動き、上部構造が追いつこうとする。高さと剛性によっては、最上部の振れ幅が基礎の数倍に達することもある——入力を単に伝えるのではなく、増幅してしまうのだ。

建物には固有の「揺れやすい周期」がある

あらゆる構造物には固有周期がある。外力を与えたとき、最も自然に振動する周期のことだ。目安として、建物の階数×0.1秒がおおよその固有周期となる。5階建てなら約0.5秒、15階建てなら約1.5秒で1往復する。

地震の揺れの周期と建物の固有周期が一致すると、共鳴が起きる。各サイクルの揺れが前の揺れを打ち消すのではなく、上乗せしていく。ブランコをタイミングよく押すと、小さな力でも大きく揺れるのと同じ原理だ。

1985年のメキシコシティでは、最大40メートルに及ぶ旧湖底の軟弱な粘土層が、地震エネルギーを約2秒周期の長周期波に変換した。12〜20階建てのビルはこの周期と共鳴し、壊滅的な被害を受けた。5階建ても30階建ても無事だった。同じ街区で隣り合った建物の明暗が分かれた理由は、これだ。

建物はどのように壊れるか

地震の力は主に水平方向に働く。建物は基本的に鉛直荷重(重力)に耐えるよう設計されており、水平力への備えは風荷重程度にとどまることが多い。大地震では、その数倍の水平加速度が加わることもある。これが構造的な弱点となる。

ソフトストーリー崩壊。1階に駐車場・店舗・ガラス張りのロビーなど開放的なスペースがある建物では、上階より1階の耐力壁が少ない。地震力が加わると、弱い1階が折れ曲がり、重い上部が真下に落下する。2023年2月のトルコ・シリア地震(死者5万人超)では、このソフトストーリー崩壊が最大の死因だった。

パンケーキ崩壊。柱と床スラブの接合部が破断すると、各階が下の階の上に重なるように落下する。生存空間がほとんど残らないため、特に致死率が高い。1995年の阪神・淡路大震災(死者6,434人)では、旧耐震基準のRC造マンションで多く見られた。

ねじれ破壊。建物の重心と剛心(抵抗力の中心)がずれていると、地震時に平行移動ではなく回転が生じる。最も遠い角の部分に最大の応力が集中し、そこから破断する。

10,000 1985年
メキシコシティ地震の死者数
660 t 台北101
制震マスダンパーの重量
50,000+ 2023年
トルコ・シリア地震の死者数

工学的な対策

靱性(ダクティリティ)。鋼材や適切に設計されたRC造は、破断ではなく変形によってエネルギーを吸収できる。耐震設計の目標は「損傷ゼロ」ではなく、「倒壊せず、人が逃げられる状態を保つこと」だ。日本・カリフォルニア・ニュージーランド・チリの耐震規準では、靱性確保が基本要件となっている。

チューンドマスダンパー(TMD)。超高層ビルの上部に大きな重錘を吊り下げ、油圧アクチュエーターで建物の固有周期に同調させる装置。建物が一方向に揺れると、重錘は逆方向に動いて振動を相殺する。台北101(台湾)には直径5.5m、重量660トンの鋼鉄球が92〜87階に吊られており、見学用プラットフォームから実際に揺れる様子を観察できる。強い台風時、上層階の揺れを約40%低減する。

免震構造。建物を強化するのではなく、地盤から物理的に切り離す工法。建物を積層ゴムアイソレーターや鉛プラグ入りアイソレーターの上に設置し、水平方向に最大50cmの相対変位を許容しながら、上部構造への振動伝達を大幅に低減する。免震建物の有効周期は3〜5秒で、地震エネルギーが集中する0.1〜2秒帯から大きく外れる。1994年ノースリッジ地震では、USC大学病院(免震)が無傷で機能を維持した一方、隣接する非免震の病院は損傷を受け、閉鎖を余儀なくされた。

ユタ州議事堂の免震アイソレーター
ユタ州議事堂(ソルトレイクシティ)の床下に設置された積層ゴムアイソレーター。各パッドはゴムと鋼板の積層構造で、地震時に最大30cmの水平変位を吸収し、上部建物への揺れの伝達を抑制する。Photo: Mike Renlund / Wikimedia Commons, CC BY 2.0.

知識と現場の間にある溝

地震後の調査は毎回同じ結論に至る——現行基準を満たした建物は生き残り、満たしていない建物は倒壊した。

1985年のメキシコシティ地震後、メキシコは耐震基準を抜本的に見直した。1999年のトルコ・コジャエリ地震(死者約1万7,000人)後も同様だった。2023年の地震後の調査では、崩壊した建物の多くが旧基準で建設されたもの、あるいは違法建築を事後的に合法化する「建設恩赦」制度を利用したものだったことが明らかになった。一部は名目上は適合していても、規定を下回る鉄筋・粗悪なコンクリート・不適切な地盤条件が使われていた。

耐震工学は、基準が厳格に施行される場所では「解決済み」の問題だ。最も多くの命が失われる地震は、工学的知識が欠如している場所ではなく、その知識が施工現場に届かない場所で起きる。

ここには繰り返すパターンがある。大地震の後、基準が改訂され施行が強化される。一世代が過ぎる。記憶が薄れる。コスト削減が優先される。施行が緩む。そして次の地震は、外見上は現代的だが実態が伴っていない建物を見つける。

地震の揺れは数秒から長くて1分ほど。その間にすべてが決まる。だが、脆弱性は地震の前の年月——手抜き工事、恩赦による既存不適格建物の温存、そして「あの地震」から時間が経つにつれ薄れていく危機意識——によって着々と積み上げられていく。

建物の運命は、地面が揺れ始める前に、すでに決まっている。

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